昔のゲームの想い出 [0125] 「怒」 [SNK] [1986] [アーケード]
《手榴弾の炸裂が爽快!》
友人の想い出シリーズ第三弾(?)は、友人だった雅美の想い出です。
この彼と知り合ってからの初ゲームは「T・A・N・K」なのですが、私にはT・A・N・Kの想い出が殆んど無いので、こっちの方だけとなります。
といっても、T・A・N・Kの曲とかいまだに聴いていたりしますがw

名曲揃いのサントラ。
ラストにはASOの"サンセット"も入ってます
ということで、「怒」と最後に「雅美」の想い出を語りたいと思います。
友人の想い出シリーズ第三弾(?)は、友人だった雅美の想い出です。
この彼と知り合ってからの初ゲームは「T・A・N・K」なのですが、私にはT・A・N・Kの想い出が殆んど無いので、こっちの方だけとなります。
といっても、T・A・N・Kの曲とかいまだに聴いていたりしますがw

名曲揃いのサントラ。
ラストにはASOの"サンセット"も入ってます
ということで、「怒」と最後に「雅美」の想い出を語りたいと思います。
「怒」はミリタリー系のシューティングゲームとなり、自機の兵士を操りながら、ゴールにある要塞まで進むゲームとなります。
自機はマシンガンと、手榴弾にて攻撃ができ、どちらにも弾数があるというタイトなゲームデザインを持っています。
道中には戦車が置いてあり、これに乗り込むと攻撃力が高い攻撃を行う事ができる上に、自機が攻撃を食らっても戦車がシールドになります。
ゲーム内容としてはフロントラインに近いゲームデザインとなりますが、難易度の高さがハンパでなく、敵が賢い(間合を読む)、トラップが多い…と、完全に覚えゲーとして位置付けられている感じのゲームとなっています。
【ファーストインプレッション】
T・A・N・Kを1コインでクリアしていた雅美は、そのままの流れで、入荷されたばかりの「怒」を即座にプレーしようとしていました。
「一緒にプレーしようぜ」と一緒にプレーしたところ、「あれっ? 今、なんで死んだ?」という事がゲームプレー後、すぐに発生。
よくよく考えると、「これって、味方からの手榴弾に当ると死ぬぞっ!?」という流れに…
このゲームは、「味方の攻撃からもミスが発生するという、かなりスパルタンな仕様」のゲームだったのです。
「もう、今後は同時2プレーは無理だな…」という私の台詞に、彼は(´・ω・`)としていました。
しかし、彼がこのゲームに魅入られたパワーはこんなものじゃ揺ぎませんでした…
「なら、別々でもいいからプレーしていこうぜ!」と、彼の熱い言葉に「そ、そーだね。まぁ、二人同時プレーは俺も好きじゃないしな。」という感じで、ゲーム自体を交互にプレーをするスタイルを取って行く事になりました。
そして、私はノーコンティニュー派だったので、今後は彼もそれに合せてくれた形になりました。
【手榴弾のパワーアップが凄いっ!】
このゲームのウリ(?)である爆発は8方向に爆裂して、敵も自機も(味方も)噴き飛します。特に自機や戦車がパワーアップすると、爆裂が非常に気持ち良い攻撃になります。私と雅美はこの攻撃を「炸裂弾」という勝手な命名をして、プレーしていました。
正直このゲームは、「このパワーアップになっていないと話にならない」という難易度で、ノーマルの手榴弾で敵をちんたら攻撃していると、難易度が上昇してくる…といったものでした。開発側がどう考えていたのか分りませんが、この気持ちの良いパワーアップで、どんどん進んで敵を一掃して欲しいという考えでもあるのじゃないか?とさえ思える程です。しかし、このゲームは弾数制限があるというシビアなゲームで、調子に乗っていると、弾切れ→攻撃できなくなる→敵の攻撃がヒドくなる→詰まる。というシーケンスが簡単に成立するので、いかに敵の出現ポイントを覚えて、炸裂弾一発で一掃するかが鍵となっていました。
ちなみに、この頃に私はファミリーベーシック掲載のサンプルプログラム、「マリオ8人が8方向に移動する」というサンプルを打ち込んだりして、このアルゴリズムを理解しており、このゲームにインスパイアされて、8方向の爆裂を表現するシューティングゲームを自作しました。(ソースは「SUPER PENPEN」とは違い、紛失…)
【ちょっとずつ進むゲーム…】
このゲームの攻略を練らないでプレーする人は、ゲームの雰囲気的にも「ガンガン進む」…という事をしてしまいがちですが(自機もランボーっぽいのですし)、実はそうすると、敵の物量的にもかなりキツイゲームに変貌します。
このゲームは5~10人位の敵が一気に画面に押し寄せたりするケースもあるので、そのままの勢いで進んで行くと、敵の攻撃をまともに浴びてしまうケースなどが多発しました。このため、私と雅美は「ちょっとずつ進んで、スクロールインした敵を即座に倒して行こう…」という、他人から見ると「上半身裸で筋肉質の自機の格好にはそぐわないチキンハートのようなプレースタイル」を取りました。
こうしないと、「正直クリアはキツイな…」とw
【衝撃のエンディング】
こうして、雅美と陰険なトラップ地帯の攻略をスガキヤラーメンでラーメンを食べながら議論し、彼が先行して攻略をして行き、初のエンディングを見ました。
雅美:「せ、千昌夫がいる…」
OKI:「ほ、ほんとだ。この額のホクロは千昌夫だ…」
その衝撃なエンディングには「千昌夫」が立っていて、杖を片手にペシペシしているシーンでした。
この人物の前にミイラになったような人間と砲台がもの凄い攻撃をしてきていたので、こいつが「真のボスか?」と思ってた矢先に、エンディングが始まり、よく分らない状況に二人で唖然となりました。
その後、雑誌の記事を読んでいたら、これは千昌夫ではなく、「SNKの社長」という事が分ったのですが、無味乾燥なT・A・N・Kのエンディングとはまるで違うノリに、「なんなんだ、コレは。」という想い出があります。(あっさりしているのは同じですがw)
【ギャラリーが湧いた!】
お互いがクリアルートを攻略した後、地区で一番大きなゲームセンターに、雅美とY田くんを引き連れて遊びに行き、Y田くんと二人でファンタジーゾーンをプレーしていた所、リリースされたばかりのファンタジーゾーンなだけに、私がクリアをしていた時にはそこそこのオプション(ギャラリー)が付いていました。
OKI:「なぁ、Y田。今、俺のファンタジーゾーンのプレーを見ている
オプションどれくらいだ?」
Y田くん:「10人位かなぁ~。」
OKI:「結構ついてるな。(^ー^)」
その直後です。同じゲームセンターの内の少し離れた場所から「おおおぉぉぉ!」という歓声が。
「な、なんだ?」と同時に、その方向を見ると、私の比にはならない程の人集りが。
そして、その場所には"怒"が置いてあったという事を思い出しました。
「(そーいや、俺がファンタジーゾーンをプレーする前に雅美が怒を始めていたな…)」と思い、
OKI:「雅美のプレーしている『怒』のオプションの人数すごくねーか?
エンディングまで行ってんじゃねーの?」
Y田:「すごい人の数だよ。」
そうです、まだ「怒のエンディング」を見ていない人が多かったという事で、もの凄いギャラリーが彼のプレーに魅入っていたのです。
その時の彼は「ゲームセンターのヒーロー」と化していました。この時の雅美をこれ程「カッコイイ!」と思った事はありませんでした。
それ位、このゲームの難易度は高い(正直、後半の難易度はおかしい)と言われています。
◇ ◇ ◇
ここからはゲームセンターの朋友、雅美との想い出話を書いて行きます。
あんまりゲームに関係ありません。…が、ゲームを通じての友人なので、ゲームのネタもちょっと入ったりします。
【雅美との想い出 (ファーストインプレッション)】
こうして彼の名前を打ち込むと、女性の名前っぽいですが、当然今迄の流れからそんな事はありません。男性ですw
会話をするキッカケは、同じクラスの友人が彼と前のクラスメートだったという事で、私に紹介してくれたという感じだったのですが、紹介してもらった時には既にゲームセンターで彼を見ていたので、存在はなんとなく知っていました。しかし学区の問題から、私のいきつけのゲームセンターに彼は殆んど来ていなかった…という事で、この紹介をきっかけに彼とゲームセンターで一緒に遊ぶようになりました。
最初の印象は、「見た目冴えない、変な言動を唐突に発声する不思議な男」という感じでした。
【雅美との想い出 (彼の外装とデバイス)】
私の育った所というのは、「不良の近藤真彦さん(爆)」が育った場所だったので、その後継者達は「みんな悪になる」という場所でした。
学生の服装は「ボンタン率90%」という学校で(署名運動で学校の制服をボンタンに認可させるという事までしました)、冴えない雅美もドカンとかを履いていました。
彼とゲームセンターに行く時は決まって改造した自転車で、360度どこから見てもヤンキー仕様という出で立ちです。
たまに、ゲーセンから用事があって、彼からチャリンコを借りたりしたのですが、ある日この乗り辛いチャリンコのおかげで、小学生にブツかった事があり、その時にその子が倒れて壊れたチャリを見て、青ざめて震えあがってしまう程の代物でした。俗に今でいうデコチャリ…いや、改チャリです。チャリに3段シートとロケットカウル、リーゼント風防と8連ラッパが付いていましたw
子供が震えながら土下座してきた時には「いいよいいよ、こんなチャリ。俺が乗り辛くてブツかったんだから。」と言ったら、緊張が抜けたのか、肩をガックリ落してうな垂れていたのを覚えています。そしてそのままゲーセンに帰ってきて、帰りに雅美がその壊れたチャリを見て「ノォォォォォォ!! orz」となっているのを見て、とても罪悪感を覚えたという想い出があります。
とまぁ、彼はそんな感じのヤンキーでした。
【雅美との想い出 (彼の叫び)】
彼の口癖はエロ用語が多く、ゲーム中にゲームの拡大処理などが行われると、唐突に「ドットが粗い!」とゲームセンターで叫んだりしました(これはAVのモザイクと同じ意味合いで叫んでいました)。他にも急にトチ狂ったように「オ○○○!○○○コ!○マ○○!」とかプレー中に叫ぶので、私はただただ笑うしかありませんでした。今だったら「オマエは、『おるちゅばんエビちゅ』かよ!とかツッコミそうなものですw M・A・○・C・O!でちゅ!)
他にも私が何かのゲームをクリアして、「ふぅ~」と溜息をついたりすると、「ふぅ、ふぅ、ふぅ~!」と、「快傑ヤンチャ丸」の1stのボスである"おたふく太郎"の真似を大声で叫んだりしました。正直、ちょっと頭が足りない子ではあったのですが、ビーバップ&湘爆よろしく、この時代の不良は何をしても良い時代だったので、私は放っておきました。まぁ、ゲームセンターでは皆が注目するゲーマーでしたし。

1987年に貰った、彼からの年賀状…
おたふく太郎がかなり気にいっていたらしいw
あっ、そういえばアウトランの想い出で書いた、一緒に箱乗りしてきたのは、彼(ともっちゃんです。みんな抑えきれないエネルギーが無駄に爆発していた世代でした…
【雅美との想い出 (彼との溝)】
彼と知り合って数年後、徐々におかしな雰囲気になってきました。彼だけ人生のおいてけぼりになってきたのです。
みんなが進学をしているだけの中、彼だけ何も決まらない状況になりました。
みんなが進路の関係からバラバラになる中、私だけが「ゲームの朋友」という事で、彼と一緒にいたのですが、彼の家庭の事情から徐々に893の道に近付き始めました。付き合っている友人もゲームの友人から、徐々に人生から外れていった友人が多くなり、ツルむ時間も徐々にソレ系の友人の方が割り合いが多くなりました。
「どーにかしないと、マズイ方向に進んでしまう…」、そー思った私は、雅美に説教をしました。
OKI:「そんなじゃ、いずれマズイ方向に行っちゃうぞ!」
OKI:「今乗っている単車だって、族車じゃねーか。
XJ(ペケジェー)をそんなに改造して爆音出したって、近所迷惑だろ!」
との言葉に、
雅美:「OKIくんには、この渋いサウンドが分らないんだっ!
集会だって、凄いんだぞ!」
と反抗してきたので、
OKI:「よし、それなら俺も集会に行く。」
と行って、一緒に江ノ島の集会に行きました。どんだけ凄いのかと検証するためです。
結果は「これは暴走族だけが分る空間」という事が分りました。否定はしませんが、私には全く理解できない空間でした。
「タコ躍り」というのを彼と二ケツして体験しましたが、それも話のタネになるだけで、正直、体感ゲームをプレーした方が65535倍は楽しい位でした。爆音を聴き過ぎたせいか、帰宅したら難聴っぽくなってるし…
この一件により、彼と私の溝はマリアナ海溝並に深いものになりました。
その後、彼は私の部屋のゲーム台のゲームをプレーしにやって来たりはしましたが(それも族車で)、私は家に上げず、「そのパンチパーマとキクリン眼鏡を止めたら家に上げてあげる。あと、族車でくるな。その爆音、近所迷惑だ。」と彼を一蹴。そんな彼は次第に私の家には来なくなりました…
【雅美との想い出 (訃報)】
彼と遊ばなくなって、更に数年後、近所のオバサンの井戸端会議や友人伝いで、「彼は893方面に進んだ。」とか、「彼のお兄さんは覚醒剤の現行犯で捕まった。」とか色々な話を聴くようになりました。なかでも「彼は日中ペンキ屋でバイトをしていて、シンナーが吸い放題だから天職らしい。」と、聴きたくないような噂まで聴くようになりました。
「一緒に怒やアウトランをプレーしていた頃の彼はどこに行ってしまったのだろう…(´・ω・`)」
本当に凹みました。
そんなある日、珍しい知り合いから電話が来て…
知り合い:「OKI、知ってるかもしれないけど、雅美が死んだ。」
OKI:「…何!? なんだよ!ソレ! 冗談だろ!」
知り合い:「なんでも、○○小学校のプールで首を吊って死んだらしい。」
OKIは雅美と友人だったから、知ってるかな?と思ったけど、知らなかったか…」
OKI:「マジかよ… 俺、何年も会ってなかったから、流石に今のアイツの事は知らなかった…」
と、愕然としました。
周りの話だと麻薬のやりすぎで頭がおかしくなって首を吊ったとか、893の下っ端でヘマやって死ぬしかなかった等、色々と言っていましたが、私には真相は分りませんでした。
線香を上げに行くか散々悩みましたが、最後の別れ方が私が突き放した形だったので、「今更どのツラ下げて、彼の前に行けばいいんだ…」という気持ちで一杯になり、結局は雅美と一緒にいた事に対して暖い目で見ていた、私の母親に線香を頼む事になりました。(親同士も子供を通じて知り合いになっていた)
…と、「怒 = ゲーム朋友の雅美」というのが私の想い出なのですが、「もしも族に行ってしまいそうな時点で、どーにかして止められたら…」と、"たられば"な事をコボしてしまうのですが、そういっていても仕方がないので、「それもまた人生」と割り切りながら、彼とのゲームの想い出は私の大事な想い出としています。

怒号層圏じゃありませんが、人生のやり直しに
「もう一度チャンスをくれっ!」とは言えない…
◇ ◇ ◇
少し話の流れを変えますが、この時代(のほんの少し前)のゲーセンゲーマーって、おおよそ不良かオタクのどちらかにメタモリフォーゼする岐路に立たされていたように感じます。
今の時代で比較するとかなり対照的に感じますが、ゲームセンターという所は「不良の溜まり場」、「最新テクノロジーの披露場所」、「映像技術によるアニメ技法を取り入れた作品が産み出された時期」いう条件がミックスされた革新的な"時と場所"だったので、この時代にゲームセンターにいた人種というのは、かなり面白かったと思っています。
私は「最新テクノロジー」に重きを置いて、且つ「年齢、善悪を考えないで、ゲームを娯楽として楽しむ交流の場」として利用していたので、運良く曲った方向に進まなかった(と思っている)のですが、雅美のような"超ヤンキー"のような人もいれば、ゲーメストの彼のような"超オタクのプロ"に進む人もいて、F田くんのような"超ゲーム開発のプロ(nearlyオタク)"になる人も産むという、凄くカオスな時代だったとシミジミします。
自機はマシンガンと、手榴弾にて攻撃ができ、どちらにも弾数があるというタイトなゲームデザインを持っています。
道中には戦車が置いてあり、これに乗り込むと攻撃力が高い攻撃を行う事ができる上に、自機が攻撃を食らっても戦車がシールドになります。
ゲーム内容としてはフロントラインに近いゲームデザインとなりますが、難易度の高さがハンパでなく、敵が賢い(間合を読む)、トラップが多い…と、完全に覚えゲーとして位置付けられている感じのゲームとなっています。
【ファーストインプレッション】
T・A・N・Kを1コインでクリアしていた雅美は、そのままの流れで、入荷されたばかりの「怒」を即座にプレーしようとしていました。
「一緒にプレーしようぜ」と一緒にプレーしたところ、「あれっ? 今、なんで死んだ?」という事がゲームプレー後、すぐに発生。
よくよく考えると、「これって、味方からの手榴弾に当ると死ぬぞっ!?」という流れに…
このゲームは、「味方の攻撃からもミスが発生するという、かなりスパルタンな仕様」のゲームだったのです。
「もう、今後は同時2プレーは無理だな…」という私の台詞に、彼は(´・ω・`)としていました。
しかし、彼がこのゲームに魅入られたパワーはこんなものじゃ揺ぎませんでした…
「なら、別々でもいいからプレーしていこうぜ!」と、彼の熱い言葉に「そ、そーだね。まぁ、二人同時プレーは俺も好きじゃないしな。」という感じで、ゲーム自体を交互にプレーをするスタイルを取って行く事になりました。
そして、私はノーコンティニュー派だったので、今後は彼もそれに合せてくれた形になりました。
【手榴弾のパワーアップが凄いっ!】
このゲームのウリ(?)である爆発は8方向に爆裂して、敵も自機も(味方も)噴き飛します。特に自機や戦車がパワーアップすると、爆裂が非常に気持ち良い攻撃になります。私と雅美はこの攻撃を「炸裂弾」という勝手な命名をして、プレーしていました。
正直このゲームは、「このパワーアップになっていないと話にならない」という難易度で、ノーマルの手榴弾で敵をちんたら攻撃していると、難易度が上昇してくる…といったものでした。開発側がどう考えていたのか分りませんが、この気持ちの良いパワーアップで、どんどん進んで敵を一掃して欲しいという考えでもあるのじゃないか?とさえ思える程です。しかし、このゲームは弾数制限があるというシビアなゲームで、調子に乗っていると、弾切れ→攻撃できなくなる→敵の攻撃がヒドくなる→詰まる。というシーケンスが簡単に成立するので、いかに敵の出現ポイントを覚えて、炸裂弾一発で一掃するかが鍵となっていました。
ちなみに、この頃に私はファミリーベーシック掲載のサンプルプログラム、「マリオ8人が8方向に移動する」というサンプルを打ち込んだりして、このアルゴリズムを理解しており、このゲームにインスパイアされて、8方向の爆裂を表現するシューティングゲームを自作しました。(ソースは「SUPER PENPEN」とは違い、紛失…)
【ちょっとずつ進むゲーム…】
このゲームの攻略を練らないでプレーする人は、ゲームの雰囲気的にも「ガンガン進む」…という事をしてしまいがちですが(自機もランボーっぽいのですし)、実はそうすると、敵の物量的にもかなりキツイゲームに変貌します。
このゲームは5~10人位の敵が一気に画面に押し寄せたりするケースもあるので、そのままの勢いで進んで行くと、敵の攻撃をまともに浴びてしまうケースなどが多発しました。このため、私と雅美は「ちょっとずつ進んで、スクロールインした敵を即座に倒して行こう…」という、他人から見ると「上半身裸で筋肉質の自機の格好にはそぐわないチキンハートのようなプレースタイル」を取りました。
こうしないと、「正直クリアはキツイな…」とw
【衝撃のエンディング】
こうして、雅美と陰険なトラップ地帯の攻略をスガキヤラーメンでラーメンを食べながら議論し、彼が先行して攻略をして行き、初のエンディングを見ました。
雅美:「せ、千昌夫がいる…」
OKI:「ほ、ほんとだ。この額のホクロは千昌夫だ…」
その衝撃なエンディングには「千昌夫」が立っていて、杖を片手にペシペシしているシーンでした。
この人物の前にミイラになったような人間と砲台がもの凄い攻撃をしてきていたので、こいつが「真のボスか?」と思ってた矢先に、エンディングが始まり、よく分らない状況に二人で唖然となりました。
その後、雑誌の記事を読んでいたら、これは千昌夫ではなく、「SNKの社長」という事が分ったのですが、無味乾燥なT・A・N・Kのエンディングとはまるで違うノリに、「なんなんだ、コレは。」という想い出があります。(あっさりしているのは同じですがw)
【ギャラリーが湧いた!】
お互いがクリアルートを攻略した後、地区で一番大きなゲームセンターに、雅美とY田くんを引き連れて遊びに行き、Y田くんと二人でファンタジーゾーンをプレーしていた所、リリースされたばかりのファンタジーゾーンなだけに、私がクリアをしていた時にはそこそこのオプション(ギャラリー)が付いていました。
OKI:「なぁ、Y田。今、俺のファンタジーゾーンのプレーを見ている
オプションどれくらいだ?」
Y田くん:「10人位かなぁ~。」
OKI:「結構ついてるな。(^ー^)」
その直後です。同じゲームセンターの内の少し離れた場所から「おおおぉぉぉ!」という歓声が。
「な、なんだ?」と同時に、その方向を見ると、私の比にはならない程の人集りが。
そして、その場所には"怒"が置いてあったという事を思い出しました。
「(そーいや、俺がファンタジーゾーンをプレーする前に雅美が怒を始めていたな…)」と思い、
OKI:「雅美のプレーしている『怒』のオプションの人数すごくねーか?
エンディングまで行ってんじゃねーの?」
Y田:「すごい人の数だよ。」
そうです、まだ「怒のエンディング」を見ていない人が多かったという事で、もの凄いギャラリーが彼のプレーに魅入っていたのです。
その時の彼は「ゲームセンターのヒーロー」と化していました。この時の雅美をこれ程「カッコイイ!」と思った事はありませんでした。
それ位、このゲームの難易度は高い(正直、後半の難易度はおかしい)と言われています。
ここからはゲームセンターの朋友、雅美との想い出話を書いて行きます。
あんまりゲームに関係ありません。…が、ゲームを通じての友人なので、ゲームのネタもちょっと入ったりします。
【雅美との想い出 (ファーストインプレッション)】
こうして彼の名前を打ち込むと、女性の名前っぽいですが、当然今迄の流れからそんな事はありません。男性ですw
会話をするキッカケは、同じクラスの友人が彼と前のクラスメートだったという事で、私に紹介してくれたという感じだったのですが、紹介してもらった時には既にゲームセンターで彼を見ていたので、存在はなんとなく知っていました。しかし学区の問題から、私のいきつけのゲームセンターに彼は殆んど来ていなかった…という事で、この紹介をきっかけに彼とゲームセンターで一緒に遊ぶようになりました。
最初の印象は、「見た目冴えない、変な言動を唐突に発声する不思議な男」という感じでした。
【雅美との想い出 (彼の外装とデバイス)】
私の育った所というのは、「不良の近藤真彦さん(爆)」が育った場所だったので、その後継者達は「みんな悪になる」という場所でした。
学生の服装は「ボンタン率90%」という学校で(署名運動で学校の制服をボンタンに認可させるという事までしました)、冴えない雅美もドカンとかを履いていました。
彼とゲームセンターに行く時は決まって改造した自転車で、360度どこから見てもヤンキー仕様という出で立ちです。
たまに、ゲーセンから用事があって、彼からチャリンコを借りたりしたのですが、ある日この乗り辛いチャリンコのおかげで、小学生にブツかった事があり、その時にその子が倒れて壊れたチャリを見て、青ざめて震えあがってしまう程の代物でした。俗に今でいうデコチャリ…いや、改チャリです。チャリに3段シートとロケットカウル、リーゼント風防と8連ラッパが付いていましたw
子供が震えながら土下座してきた時には「いいよいいよ、こんなチャリ。俺が乗り辛くてブツかったんだから。」と言ったら、緊張が抜けたのか、肩をガックリ落してうな垂れていたのを覚えています。そしてそのままゲーセンに帰ってきて、帰りに雅美がその壊れたチャリを見て「ノォォォォォォ!! orz」となっているのを見て、とても罪悪感を覚えたという想い出があります。
とまぁ、彼はそんな感じのヤンキーでした。
【雅美との想い出 (彼の叫び)】
彼の口癖はエロ用語が多く、ゲーム中にゲームの拡大処理などが行われると、唐突に「ドットが粗い!」とゲームセンターで叫んだりしました(これはAVのモザイクと同じ意味合いで叫んでいました)。他にも急にトチ狂ったように「オ○○○!○○○コ!○マ○○!」とかプレー中に叫ぶので、私はただただ笑うしかありませんでした。今だったら「オマエは、『おるちゅばんエビちゅ』かよ!とかツッコミそうなものですw M・A・○・C・O!でちゅ!)
他にも私が何かのゲームをクリアして、「ふぅ~」と溜息をついたりすると、「ふぅ、ふぅ、ふぅ~!」と、「快傑ヤンチャ丸」の1stのボスである"おたふく太郎"の真似を大声で叫んだりしました。正直、ちょっと頭が足りない子ではあったのですが、ビーバップ&湘爆よろしく、この時代の不良は何をしても良い時代だったので、私は放っておきました。まぁ、ゲームセンターでは皆が注目するゲーマーでしたし。

1987年に貰った、彼からの年賀状…
おたふく太郎がかなり気にいっていたらしいw
あっ、そういえばアウトランの想い出で書いた、一緒に箱乗りしてきたのは、彼(ともっちゃんです。みんな抑えきれないエネルギーが無駄に爆発していた世代でした…
【雅美との想い出 (彼との溝)】
彼と知り合って数年後、徐々におかしな雰囲気になってきました。彼だけ人生のおいてけぼりになってきたのです。
みんなが進学をしているだけの中、彼だけ何も決まらない状況になりました。
みんなが進路の関係からバラバラになる中、私だけが「ゲームの朋友」という事で、彼と一緒にいたのですが、彼の家庭の事情から徐々に893の道に近付き始めました。付き合っている友人もゲームの友人から、徐々に人生から外れていった友人が多くなり、ツルむ時間も徐々にソレ系の友人の方が割り合いが多くなりました。
「どーにかしないと、マズイ方向に進んでしまう…」、そー思った私は、雅美に説教をしました。
OKI:「そんなじゃ、いずれマズイ方向に行っちゃうぞ!」
OKI:「今乗っている単車だって、族車じゃねーか。
XJ(ペケジェー)をそんなに改造して爆音出したって、近所迷惑だろ!」
との言葉に、
雅美:「OKIくんには、この渋いサウンドが分らないんだっ!
集会だって、凄いんだぞ!」
と反抗してきたので、
OKI:「よし、それなら俺も集会に行く。」
と行って、一緒に江ノ島の集会に行きました。どんだけ凄いのかと検証するためです。
結果は「これは暴走族だけが分る空間」という事が分りました。否定はしませんが、私には全く理解できない空間でした。
「タコ躍り」というのを彼と二ケツして体験しましたが、それも話のタネになるだけで、正直、体感ゲームをプレーした方が65535倍は楽しい位でした。爆音を聴き過ぎたせいか、帰宅したら難聴っぽくなってるし…
この一件により、彼と私の溝はマリアナ海溝並に深いものになりました。
その後、彼は私の部屋のゲーム台のゲームをプレーしにやって来たりはしましたが(それも族車で)、私は家に上げず、「そのパンチパーマとキクリン眼鏡を止めたら家に上げてあげる。あと、族車でくるな。その爆音、近所迷惑だ。」と彼を一蹴。そんな彼は次第に私の家には来なくなりました…
【雅美との想い出 (訃報)】
彼と遊ばなくなって、更に数年後、近所のオバサンの井戸端会議や友人伝いで、「彼は893方面に進んだ。」とか、「彼のお兄さんは覚醒剤の現行犯で捕まった。」とか色々な話を聴くようになりました。なかでも「彼は日中ペンキ屋でバイトをしていて、シンナーが吸い放題だから天職らしい。」と、聴きたくないような噂まで聴くようになりました。
「一緒に怒やアウトランをプレーしていた頃の彼はどこに行ってしまったのだろう…(´・ω・`)」
本当に凹みました。
そんなある日、珍しい知り合いから電話が来て…
知り合い:「OKI、知ってるかもしれないけど、雅美が死んだ。」
OKI:「…何!? なんだよ!ソレ! 冗談だろ!」
知り合い:「なんでも、○○小学校のプールで首を吊って死んだらしい。」
OKIは雅美と友人だったから、知ってるかな?と思ったけど、知らなかったか…」
OKI:「マジかよ… 俺、何年も会ってなかったから、流石に今のアイツの事は知らなかった…」
と、愕然としました。
周りの話だと麻薬のやりすぎで頭がおかしくなって首を吊ったとか、893の下っ端でヘマやって死ぬしかなかった等、色々と言っていましたが、私には真相は分りませんでした。
線香を上げに行くか散々悩みましたが、最後の別れ方が私が突き放した形だったので、「今更どのツラ下げて、彼の前に行けばいいんだ…」という気持ちで一杯になり、結局は雅美と一緒にいた事に対して暖い目で見ていた、私の母親に線香を頼む事になりました。(親同士も子供を通じて知り合いになっていた)
…と、「怒 = ゲーム朋友の雅美」というのが私の想い出なのですが、「もしも族に行ってしまいそうな時点で、どーにかして止められたら…」と、"たられば"な事をコボしてしまうのですが、そういっていても仕方がないので、「それもまた人生」と割り切りながら、彼とのゲームの想い出は私の大事な想い出としています。

怒号層圏じゃありませんが、人生のやり直しに
「もう一度チャンスをくれっ!」とは言えない…
少し話の流れを変えますが、この時代(のほんの少し前)のゲーセンゲーマーって、おおよそ不良かオタクのどちらかにメタモリフォーゼする岐路に立たされていたように感じます。
今の時代で比較するとかなり対照的に感じますが、ゲームセンターという所は「不良の溜まり場」、「最新テクノロジーの披露場所」、「映像技術によるアニメ技法を取り入れた作品が産み出された時期」いう条件がミックスされた革新的な"時と場所"だったので、この時代にゲームセンターにいた人種というのは、かなり面白かったと思っています。
私は「最新テクノロジー」に重きを置いて、且つ「年齢、善悪を考えないで、ゲームを娯楽として楽しむ交流の場」として利用していたので、運良く曲った方向に進まなかった(と思っている)のですが、雅美のような"超ヤンキー"のような人もいれば、ゲーメストの彼のような"超オタクのプロ"に進む人もいて、F田くんのような"超ゲーム開発のプロ(nearlyオタク)"になる人も産むという、凄くカオスな時代だったとシミジミします。
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